2019年2月25日掲載
「促成たらの芽」
「たらの芽」はウコギ科の落葉低木「たらの木」の新芽の部分。ほのかな苦味とほっくりとした食感から、春の訪れを伝える食材として人気が高く、『山菜の王様』とも呼ばれています。全国有数の山菜産地である山形県では、山で採る山菜はもとより、作り育てる山菜の生産が盛んで、中山間地域の気象条件を活かしながら、品質の良い山菜類が促成栽培されています。
たらの芽は、かつては春の到来を待って味わえる食材でしたが、山形県では春を先取りする促成栽培を早くから取り入れ、全国1位の生産量を誇っています。
たらの芽の促成栽培は、まず、降雪前に畑で2m以上に育てた「たらの木」(穂木)を採取するところから始まります。この穂木を1芽ずつ、芽がつくように短く切断(駒木)、この駒木をビニールハウス内に設置した促成用トンネルに並べ、「春」のような環境で栽培します。おおむね1ヶ月かけて7cmほどに生長した若芽を、順次収穫していきます。
温度管理を徹底し、生育に必要な水分と湿度でじっくり「ふかす」ことで、重量感のある、おいしいたらの芽が育ちます。
「春かおり」は山形県最上総合支庁産地研究室で育成した、「たらの木」の新品種です。特徴は、生育が旺盛で、これまでの品種と比べると芽がしっかりしていて、ガクの赤みが少なく、緑鮮やかでトゲが少ないことです。味は、まろやかな山菜の香りと苦味が特徴で、見て、食べて、感じて、一足早い春を楽しむことができる品種です。ぜひご賞味ください!
促成栽培のたらの芽は、12月頃から出荷が始まっています。購入する際は、ずんぐりと太い形のもの、切り口の変色が少ないものを選ぶのがポイントです。
【たらの芽の下処理】
※天ぷらは(1)のみ
- たらの芽は袴(根元の周りの皮)を切り取り、さっと洗う。
- 約1リットルの水を沸騰させ、塩を入れる。
- (2)にたらの芽を入れ、約1分ゆでる。
- ゆであがったら手早く冷水に取る。
- (4)をざるにあげ、水気を切る。
※クッキングペーパー等で吸水してもOK!
<ポイント>
きれいな緑色に仕上げるため、たらの芽はゆですぎないように注意しましょう。
余熱で熱が通りすぎないよう、素早く冷水で粗熱を取ってください。
たらの芽は、天ぷらにするととてもおいしく、「これぞ定番!」の調理法です。たらの芽の食感・風味を活かすため、ころもを薄く、揚げたてを塩で食べるのがおすすめです。
また、酢味噌和え、胡麻和え、肉巻きなどでも、手軽においしく召し上がれます。
一足早い春の味覚・促成たらの芽を、ぜひご家庭の食卓でお楽しみください。