まさにこれが地酒の本領。他にはないユニークさ。
山形県では、戦国時代末期から江戸初期にかけて創業の蔵をはじめ、現在57社が酒造りを行っている。昔から原料米が自給でき、名峰からの恵みである清冽な水も豊かだったことから、酒どころとしての歴史も古い。近年、地酒や吟醸酒がブームである。そんな中、本県では米・麹菌・酵母・水の、原料全てがオリジナルという、まさしく100%山形酒を誕生させた。共通の酒質基準を設け各蔵元がその個性を競う「純米吟醸酒/DEWA33」シリーズである。
出荷は年3回。審査を通ったものに認定証。
「純米吟醸酒/DEWA33」とは●県産の酒造好適米「出羽燦々」を100%使用する(精米歩合は55%以下)●純米吟醸酒である●「山形酵母」・山形オリジナル麹菌「オリーゼ山形」を使用する、そして当地の豊かな水…といった基準を厳守した、蔵元それぞれが醸し出す酒。
フレッシュな味と香り、生酒を壜詰した『しぼりたて』。吟醸香そのままに、低温貯蔵された『生酒・生貯蔵酒』が楽しめる夏。仕込みから約10カ月、きめ細やかに熟成された『秋あがり』と、市場には季節に合わせて3回出荷されるが、商品として認められるのはそのつど行われる審査会に通ったもののみ。審査会認定のマークがその証しである。
「やわらかくて巾がある」酒。ふさわしい酒米開発に11年。
「純米吟醸酒/DEWA33」シリーズに共通する特長は「やわらかくて巾がある」こと。きれいな酒はよくあるが、奥深さや優しさを感じさせるような酒は少ない。技術的な問題や、大小のリスクが関わってくるからである。しかし、県工業技術センターと酒造組合などで構成された開発プロジェクトでは、あえてそこに挑戦した。その背景には、県下の蔵元が、ハイレベルな酒造りをこなせるだけの実力を備えている…との見解もあったからである。
開発にあたり最初に行ったのが、県独自の酒米の開発である。昭和59年から実に11年をかけ、当時の農業試験場庄内支場(現山形県農業総合研究センター農業生産技術試験場庄内支場)で育種されたのが山形県オリジナルの酒造好適米「出羽燦々」である。良い酒でも、既存の酒米など他産のものを使ったのでは、本当の意味での『地酒』ではない…。このこだわりと「やわらかくて巾がある」酒造りのコンセプトは、酵母や麹菌の開発にも当然生かされた。
そして平成7年秋、全てがスタンバイ。県下の蔵元のうち44社が、前例のない酒造りに着手した。
明けて平成8年1月。全国の日本酒業界の大きな称賛のなか、文字通りフレッシュな『しぼりたて』を引っ提げて、第一回目の「純米吟醸酒/DEWA33」が、堂々、デビューしたのであった。
品目 | 日本酒 |
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品名 | DEWA33 山形県には現在57の清酒製造業者がある。清酒全体の課税移出数量では全国で12位と中堅どころであるが、吟醸酒・純米酒といった高級酒の生産区分では上位にランクされる。ちなみに吟醸酒の課税移出数量では新潟・京都・兵庫に次いで4位。純米吟醸酒では新潟・京都・兵庫に次いで4位。(平成16年度調べ) |