そば
全国有数の産地となった
山形の「そば」
汎用コンバインの普及
手打ちそばブームで発展
山形県が誇るそば栽培。伝統のそば文化がそのまま受け継がれたように思えるが、実はそうではない。水田の転作として、昭和後期から始まったのだ。
もちろん大正期以前、米作りができない中山間地では、そばを作り食べていた。戸沢村にあった県の試験場で、そばを代用食として研究した記録も残る。しかし、水が通り、稲作ができるようになると、そば栽培は途絶えてしまった。
転作田のそばは当初、収穫に手間がかかるため、さほど広まらなかった。平成初期に汎用コンバインが登場し、同じ頃、国産原料の手打ちそばブームも到来。そば栽培に火が付いたのである。
山形県産新品種「山形BW5号」
2018年登場
2016年度、本県のそば作付面積は5,100haで全国2位、生産量は水田転作の影響もあり1,840tで同4位。奨励品種は全て山形県のオリジナルだが、注目株は2018年から一般作付される「山形BW5号」だ。食味の良い「でわかおり」と多収性「常陸秋そば」を交配して開発。味と香りが良く、麺の緑色・白色が強いという。
また「最上早生」は古くからの品種で、甘みとコシが特長。でわかおりは、大粒で香りが良く、1999年にデビューして以来人気は不動だ。全体の9割をこの2種が占め、約半々の割合。残りは在来品種などだ。さあ、山形県のそば文化を、食べ歩きで確かめてみよう。