メニュー

ホーム知る山形のうまいもの:インデックス畜産物 > 牛肉

山形のうまいもの

牛肉

大自然と水と人情が
育てた「総称 山形牛」

牛肉

その名声は
米沢牛にはじまる

 山形県と牛肉との密接な関係は明治初期。一人の英国人が米沢へ来たことに端を発する。米沢には名君の誉れ高い9代藩主、上杉鷹山公が創設した藩校「興譲館」がある。1871年、東京開成学校から赴任してきたのが英国人のチャールズ・ヘンリー・ダラス氏である。氏はコックとして連れてきた万吉に米沢産の黒牛の料理を所望したところ、そのおいしさに驚嘆。1874年には、米沢での牛肉屋第一号となる「牛万」を万吉に開かせてしまった。ダラス氏は1875年、任期を終えて帰京することになるが当地で食べた牛肉の味が忘れられず、とうとう牛一頭を連れ帰ってしまう。そして外国人の居留が多かった横浜でこの牛肉をふるまったところ、あまりのおいしさに皆が絶賛。これがキッカケで牛肉は「米沢牛」として売り出され、その名声が全国に広まったと言われる。
 もともと米沢など置賜地域では、古くから南部地方の「上り牛」を導入し、農耕を目的に飼育を行っていたという。上杉綱憲公時代の天和元年(1681年)当時、すでに牛への課税があったとの記録もある。

在来和牛に欧州種を交配
主流となる四大和種誕生

 さて、牛の本格的な品種改良が始まったのは1900年からであるが、この時は水田耕作用を主体にした役・肉兼用牛であった。肉用牛への専門的な改良は第二次大戦後になってから。昔からいる在来の和牛に、イギリスやスイス原産の品種を交配させて誕生したのが「和種」とよばれる日本の肉用種。現在は黒毛和種・褐毛和種・日本短角種・無角和種の4種類が各地のブランド牛を支えている。
 米沢牛で始まった本県の肉用牛の歴史だが、戦後本格的な増産体制に入り、飯豊牛・西川牛・天童牛・東根牛など県下で秀逸な肉用牛がつくり出された。1962年には時の県知事の首唱により、県内産肉牛を「総称 山形牛」として定義づけ、品質規格の統一を図るに至る。県産種雄牛の作出も積極的に行われた結果、現在では高品質の肉用牛産地として全国的にその名が知られている。

牛肉

1870年〈築地精養軒〉、1872年に〈上野精養軒〉がオープン。いよいよ牛肉が西洋料理のメニューとして登場する。一方で、味噌や醤油などを使った、和食と関連のある独自の牛肉料理も考案されていく。

焼肉

焼肉は、火の乾いている炭火で焼くのがいい。炎が肉に余分な水分を与えないため、外側はカラッと、そして中にはジワッとうまみが封じ込められる。

すき焼き

「すき焼き」という名が一般化したのは大正中期のこと。それまでは「牛鍋」だった。

「総称 山形牛」ラベル

「総称 山形牛」として認められたものには、このラベル。信頼の証しである。

自然と水と愛情が条件
極上の肉質、最高の霜降り

 総称 山形牛は、出荷に対して次の基準を設けている。「山形県内において最も長く肥育・育成された未経産及び去勢の黒毛和種であること」「公益社団法人日本食肉格付協会の定める肉質等級が『3』以上に該当していること」また流通の明確化を図るため、基準を満たした「総称 山形牛」について、産地証明書の発行も行っている。さらに、流通段階での混乱を避けるため「山形牛取扱指定店」を「仲卸店」「販売店」「提供推奨店」の3区分として設定、それぞれの役割で山形牛流通の協力を得ている。
 総称 山形牛のうまさは、基準や規格といった言葉上の定義だけで生まれるものではなく、なんといってもその肥育環境が大きく影響している。山形県は、夏は暑く冬は雪も多く寒い。また、昼夜の寒暖の差も大きい。このような自然環境の中だと牛の育ち方が違うという。「だいたい月齢8〜11ヶ月の子牛から育てますが、出荷は30〜36ヶ月。寒暖の差がある山形県は、じっくりゆっくり牛が増体していくため、肉質がきめ細やかでサシ(脂肪交雑)も非常に良い状態に仕上がります」と生産者は語る。また、豊かな自然環境から湧き出る良質な水が、いい肉牛に育つ条件でもあるそうだ。牛は4つの胃で食べ物を消化するが、水質の善し悪しが消化に大きな影響を与えると言われており、カラダにいい水こそが、より健康体をつくりだすというわけである。
 総称 山形牛の特長は、何と言ってもその味にある。肉のうまみは脂肪に関係するが、サシ…つまり霜降りが細かくきれいに入り、甘みがある。口溶けがいいのは脂肪の溶ける温度、融点に関係する。いい肉ほど融点が低いと言われ、とろけるうまみを醸し出す。また、山形県独自の和牛肉の食味に関する研究やエサの配合研究の成果により、肉質のさらなる向上に繋がっている。
 ステーキ、すきやき、しゃぶしゃぶ。何か特別な時にフンパツして食べるもの…というのが牛肉に対するイメージだ。しかし、どうせ食べるなら心から満足のできるうまい肉を食べたい。そんな時は、迷わず「大自然と水と人情が育てた総称 山形牛」を、いの一番に思い出して欲しい。

期待の山形県産種雄牛!

幸花久(ゆきはなひさ)

幸花久(ゆきはなひさ)

■ 登録番号:黒14991(81.5)
■ 生年月日:H24.7.3
■ 遺伝性疾患無し

神安平(かみやすひら)

神安平(かみやすひら)

■ 登録番号:黒14992(82.4)
■ 生年月日:H24.7.27
■ 遺伝性疾患無し

 肉牛の場合、父系の遺伝的要素が非常に大きい。そのため、全てにおいてポテンシャルの高い遺伝子を持つ、秀逸な「県産種雄牛」が必要となる。山形県では2017年度、霜降りの度合いを示す脂肪交雑が本県歴代種雄牛の中で最高の成績を収めた「幸花久」と、ロース芯面積と推定歩留が本県歴代最高の「神安平」の2頭が但馬系種雄牛としてデビューした。この他にも発育が良く肉質も上等な「平忠勝」、その直系の「満開1」も質量兼備で父牛を凌ぐ成績を出している。いずれも「総称 山形牛」の高い市場評価獲得に、大いに貢献している。

▲ページのトップへ