庄内浜の《天然岩ガキ》
濃厚でクリーミーな旨味が魅力の岩ガキ。手のひらほどもある大きくてズッシリと重い殻を開けると、乳白色のふっくらとした身が詰まっています。一口ほおばると、口いっぱいに広がる豊かな磯の香り。庄内を代表する、夏の味覚です。
マガキの旬は冬ですが、庄内浜の岩ガキは、産卵を控えて旨みをたっぷり蓄え、夏に旬を迎えます。岩ガキは天然ものがほとんどで、大量生産できません。
夏になると、遊佐から鶴岡までの沿岸一帯では、岩ガキの「素もぐり漁」が行われます。ボンベなしで水深10〜20メートルの海にもぐり、海底の岩場などに張り付いた岩ガキを採取します。
全国的にも有名な庄内浜の岩ガキ。そのおいしさの秘密は、鳥海山に降った雨水や雪解け水が伏流水となって湧き出す「海底湧水」が、周辺の海域にいくつも点在していること。湧水によって良質のプランクトンが豊富に発生し、それらを主食とする岩ガキに濃厚な旨みを与えてくれるのです。
その希少価値から高級品として扱われる岩ガキは、まさしく「海のごちそう」。夏だけのおいしさを、ぜひ味わってみてください。